佐竹本三十六歌仙絵巻

佐竹本三十六歌仙絵巻

佐竹本三十六歌仙絵巻とは、歌仙絵の類品中、現存最古の絵巻です。鎌倉時代・13世紀に制作され、鎌倉時代の肖像画、歌仙絵を代表する絵巻物です。元は上下2巻の巻物で、各巻に18名ずつ、計36名の歌人の肖像が描かれていましたが、1919年(大正8年)に各歌人ごとに切り離され、掛軸装に改められました。もとは藤原公任の『三十六人撰』にもとづく三十六歌仙を一歌仙一図の絵姿に描き、それぞれの略伝と詠歌を添えた上下2巻の巻物でした。和歌神・住吉明神の社頭を描いた一図がもと下巻巻頭にあったところから,上巻冒頭には玉津島神社社頭の図があったとみなす説があります。佐竹家から出たのち、大正8年に切断分割されました。ほとんどの歌仙は背景を一切描かず、顔の表現に力が注がれ似絵の流行を反映している旧秋田藩主・佐竹侯爵家に伝来したことから「佐竹本」と呼ばれます。大坂在住の文人・木村蒹葭堂(1736 - 1802年)の『蒹葭堂雑録』によると、元は下鴨神社に伝来したものだそうです。

佐竹本三十六歌仙絵巻紹介

佐竹本三十六歌仙絵巻は、有名な歌人を描いた、いわゆる歌仙絵の類品中現存最古の遺品です。古来、絵の筆者は藤原信実(1176 - 1265)、文字の筆者は後京極良経(1169 - 1206)と伝承しますが、確証はありません。また、文字は13世紀前半の作である承久本『北野天神縁起絵巻』(国宝)の第3巻1・2段の詞書の書風に近いことが指摘されています。以上の画風・書風の検討、また男性歌人像の装束の胸部や両袖部の張りの強さを強調した描き方などから、佐竹本の制作年代は鎌倉時代中期、13世紀と推定されています。なお、佐竹本の位署・略歴等の文字には誤字脱字の多いことが指摘されています。三十六歌仙は、近世に至るまで画帖、額絵などさまざまな形で絵画化され、遺品も多いですが、佐竹本三十六歌仙絵巻は、上畳本三十六歌仙絵巻と並んで三十六歌仙図のうちでも最古の遺品であり、鎌倉時代の大和絵系肖像画を代表する作品と評されています。

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佐竹本三十六歌仙絵巻概要

佐竹本三十六歌仙絵巻の絵の筆者は数人の手に分かれていて、信実筆の可能性が高い後鳥羽天皇像(水無瀬神宮蔵、国宝)よりは様式的に時代が下るものと思われます。もとは藤原公任の『三十六人撰』にもとづく三十六歌仙と和歌神住吉明神を一図ずつに描き、それぞれに略伝と詠歌を添えた上下2巻の巻物でしたが、佐竹家から出たのち、大正8年(1919)に切断分割されました。藤原公任(966 ? 1041)は11世紀初め頃に私撰集「三十六人撰」を撰しました。これは、『万葉集』の時代から、平安時代中期までの歌人36名の秀歌を集めて歌合形式としたもので、これら36名を後に「三十六歌仙」と称するようになりました。本絵巻はこの三十六歌仙の肖像画にその代表歌と略歴を添え、巻物形式としたものです。上巻・下巻ともに18名の歌人を収録します。下巻巻頭には和歌の神とされる住吉明神(住吉大社)の景観が描かれた図があり、上巻巻頭にも、現在は失われていますが、玉津姫明神または下鴨神社の景観図があったものと推定されています。

構成

紙本著色。元は巻子装で上下2巻からなっていましたが、上述のように1919年、上巻は18枚、下巻は19枚に分割され、計37幅の掛幅装に改装されています。寸法は縦が約36センチメートル、横は各幅によって差があり一定しませんが、60 - 80センチメートル前後です。各画面は、まず歌仙の位署(氏名と官位)を記した後、略歴を数行にわたって記し、代表歌1首を2行書きにします。それに続いて紙面の左方に歌仙の肖像を描きます。上巻・下巻の構成はそれぞれ次のとおりです。

  • 上巻 - 人麿、躬恒、家持、業平、素性、猿丸、兼輔、敦忠、公忠、斎宮、宗于、敏行、清正、興風、是則、小大君、能宣、兼盛
  • 下巻 - (住吉明神)、貫之、伊勢、赤人、遍照、友則、小町、朝忠、高光、忠岑、頼基、重之、信明、順、元輔、元真、仲文、忠見、中務

歌人

古来の名だたる歌人(歌仙)たちの和歌に、その絵姿を描き添える「歌仙絵」は、中世より連綿と制作されてきました。この佐竹本は、数ある歌仙絵のなかでもっとも古く、また優れた逸品として知られ、もと、秋田の佐竹侯爵家に伝来した由来からこの名で呼ばれています。描かれている歌人たちは、現実のモデルを前に制作された肖像ではなく理想化された肖像です。『万葉集』の時代から、下っても10世紀頃までの人物であり、画面には歌人の姿のみを描き、背景や調度品等は一切描かないのが原則ですが、中でも身分の高い斎宮女御徽子のみは繧繝縁(うんげんべり)の上畳(あげだたみ)に座し、背後に屏風、手前に几帳を置いて、格の高さを表しています。36名の歌人の男女別内訳は女性5名、男性31名です。

女性歌人
女性歌人は上記の斎宮女御のほか、小大君、小野小町、中務、伊勢で、小大君、小野小町、中務は唐衣に裳の正装ですが、伊勢は唐衣を略します。女性歌人のうち、斎宮女御は慎み深く袖で顔を隠しています。また、絶世の美女とされた小野小町は顔貌が見えないように後向きに描かれ、容姿については鑑賞者の想像にゆだねる形となっています。
男性歌人
女性歌人は束帯姿18、直衣(のうし)姿7、狩衣(かりぎぬ)姿2、褐衣(かちえ)姿2、僧侶2となっています。男性像では藤原興風、藤原朝忠は後向きの体勢で描かれ、藤原仲文は脚を立膝とするなど、単調になりがちな画面に変化をつけています。なお、凡河内躬恒の図は当初のものが失われ、江戸時代・狩野探幽筆のものに代わっています。紀貫之の文字の部分も後補となっています。
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展示情報

現在、佐竹本三十六歌仙の断簡は少なくとも20の美術館・博物館が所蔵もしくは寄託していることが明らかになっています。どれも滅多に公開されることはありませんが、特別展示などで見る機会があります。

過去の展示情報

2007年

  • 書の美 古筆・手紙・墨蹟・画賛(2007.1.5-2.12/大和文華館):「小大君」
  • 所蔵名品展 国宝紅白梅図屏風(2007.1.27-3.5/MOA美術館):「平兼盛」
  • 湯木貞一の茶友(2007.3.16-6.10/湯木美術館)「在原業平」(展示期間:3.16-4.8)
  • 王朝の和歌と物語(2007.4.19-5.31/サンリツ美術館):「大中臣能宣」
  • 春季特別展示(2007.4.28-5.13/潮聲山耕三寺 耕三寺博物館):「紀貫之」
  • 秋の優品展(2007.9.1-10.21/五島美術館):「清原元輔」(展示期間:9.1-9.24)
  • 開館50周年特別記念展(2007.9.15-12.9/逸翁美術館):「藤原高光」(後期展示:10.27-12.9)
  • 開館20周年記念名品展 風流と美(2007.9.15-12.9/湯木美術館):「在原業平」(展示期間:9.15-9.30)
  • 秋季特別展(2007.10.6-11.4/徳川美術館):「源宗于」「僧正遍昭」 「清原元輔」「藤原元真」

2008年

  • 春の優品とレトロな着物(2008.3.22-6.1/遠山記念館):「大中臣頼基」(展示期間:第2期/4.23-5.11)
  • 秋の優品展(2008.8.29-10.19/五島美術館):「清原元輔」(展示期間:9.23-10.19)
  • 茶人のまなざし 森川如春庵の世界(2008.10.4-11.30/三井記念美術館):「斎宮女御」(展示期間:10.4-10.13)「藤原敏行」(展示期間:10.15-10.26)
  • 開館25周年記念 館蔵名品展(2008.8.29-10.19/野村美術館):「紀友則」(展示期間:10.28-11.16)
  • 日本の書跡(2008.10.18-2008.12.7/泉屋博古館・東京分館):「源信明」